今回は、国税専門官の専門記述試験のおすすめ科目について書かせて頂こうと思います。
国税専門官の筆記試験は、国家一般職や地方上級、その他の市役所試験と異なり専門科目による記述試験があります。
専門記述で出題される科目は、5科目ありその中から、1科目だけ選んで回答する形式です。
国税専門官の専門記述試験の選択科目については、以前の記事でも書かせていただいたので、リンクを掲載しておきます。
しかし、5科目のうちどの科目にしたらよいのか迷われている方もいらっしゃるかと思います。
当然ながら専門記述は、専門択一と出題形式が異なることから、出題科目が同じでも科目の難易度が専門択一と全く一緒ではありません。
今回は、各科目の特徴と難易度、おすすめ度についてご紹介します。
また、後述しましたが、国税専門官および裁判所一般職の専門記述の出題予想をした記事も書いていますので、ぜひ併せてご覧下さい。
専門記述の選択科目
国税専門官の専門記述における選択科目は、
・憲法
・民法
・経済学
・会計学
・社会学
の 5科目から1科目選択となります。
過去の記事でもご紹介させていただきましたので、リンクを添付させていただきます。
国税専門官 専門記述おすすめ科目
主観的な私のイメージですが、国税専門官の専門記述試験のおすすめ度としては
経済学=会計学>憲法=社会学>民法
です。
私は、経済学をメイン科目、憲法をサブ科目をとして対策をしていました。
会計学や社会学、民法がどれほどの対策が必要か詳細にはわかりませんが、私の周りの友人や公務員試験を合格された先輩の話をもとに難易度をつけさせていただきました。
以下、各科目の難易度と特徴についてお話ししていきます。
会計学
国税専門官の志望度が非常に高く、専門択一試験対策で会計学を網羅的に学習されている方は、会計学をお勧めいたします。
なぜなら、公務員試験における専門記述の会計学は、会計の規則をただそのまま暗記するだけで試験対策になるからです。
出題可能性が高い分野を10~20個程度絞り込み、そこに書かれている会計規則をそのまま暗記し、本番の試験で覚えた内容をそのまま解答用紙に書けば、平均以上はもちろんのこと、高得点が狙えます。
試験で過去に出題された問題のリメイク版も出題される可能性が高く、対策しやすい科目です。
極端なことを言ってしまえば、過去問の模範解答を覚えればよいのです。
以下に過去問が掲載されている問題集を掲載させていただきます。
参考書
「新スーパー過去問ゼミ5 会計学」は、専門択一対策でも使用できます。
そして、会計学で専門記述試験を勉強していれば、専門択一試験で出題される文章をそのままを覚えることにもなるため、専門記述対策で暗記する文章を増やせば増やすほど、専門択一の会計学で無双することができます。
私の友人は、専門記述のメイン科目として会計学を選択したことで、難化した昨年の専門択一の会計学で満点を取り、教養試験の穴をリカバーしていました。
その友人曰く、「会計学の専門記述対策として10分野以上暗記したことで、専門択一試験では、問題文を見た瞬間、選択肢を消去法で絞るのではなくはなく最初から一発で正解選択肢を絞ることができるようになった」と言っていました。
さらに、会計学の知識は、国税専門官として採用された後にも使うことになるため、試験対策と採用後の両面における相乗効果が期待されます。
経済学
経済学に対して苦手意識を持っていないならば、経済学をお勧めいたします。
国税専門官における専門記述の経済学は、例年の傾向から、他の選択科目比較しても難易度が高くなく、出題も予想しやすいため、費用対効果が高いことがいえるでしょう。
以前出た過去問のリメイク版は出題されることが良くあり、対策しやすい科目です。
極端なことを言ってしまえば、過去問の模範解答を覚えればよいのです。
過去問が掲載されている問題集を掲載させていただきます。
参考書
また、経済学は、専門択一において、暗記要素だけでなく思考するプロセスが多く含まれているため、特に専門択一試験対策が専門記述試験対策に繋がります。
つまり、専門記述対策にかける負担量が少なくなるのです。
経済学の専門記述は、解答をする原稿用紙にグラフを書くため、グラフを書く練習が必要にはなります。
グラフを書くと言っても、専門択一試験の問題で出てくるものを書けば良いため、専門記述に向けて新たにグラフを覚える必要はありません。
専門択一対策をしっかり行っていれば、グラフを書く作業は、そこまで負担にならないと思います。
とはいっても、ただグラフをかけば良いというわけではなく、グラフを説明する必要はあります。
グラフ上に登場する縦軸、横軸、曲線(X線、Y線)、接点(A点、B点など)等をどのように置いたのか解説する必要があるわけです。
解答用紙にグラフを書き、そのグラフの点や曲線を左右に動かしていくプロセスを、文章やそのグラフを使って説明することが、専門記述における経済学の解法です。
経済学の対策は、法律や判例、原則の内容をそのまま覚える要素が少なく、暗記に割く時間を抑えることができる傾向があります。
憲法
裁判所一般職との併願をしており、裁判所一般職の志望度が高い方は、憲法をお勧めします。
裁判所一般職の専門記述試験は、憲法一択だからです。
また、裁判所と国税の専門記述試験の難易度を比較した場合、例年の傾向ですと国税専門官の方が難易度が高めです。
しかし、近年の国税は、これまでの難易度とは打って変わって易化傾向にあります。
ここ2、3年のような難易度の問題が出題され続けていくことになれば、受験生は、憲法を選択しやすくなるのではないかと考えます。
裁判所の憲法が基礎を中心とした問題を出題してくる傾向があるのに対して、国税の憲法は少し応用的な問題を出してくることがあります。
裁判所一般職の志望度が高めの方は、基礎を中心に国税専門官の憲法をしっかり行っていれば、裁判所の対策に十分なります。
私は、裁判所の専門記述対策向けの参考書が販売されているので、それを使用しました。
参考書
私が受験した去年は、「衆議院の解散」という近年の国税にしては基本的な問題を出題してきたため、今年の国税の問題が基本的な問題を中心とした傾向になれば良いのですが何とも言えないところです。
国税の憲法は、難易度が安定しないのが近年の傾向と言えます。
つまり、国税の憲法は当たりはずれが大きく、国税の志望度が高い方に憲法をメイン科目として強く勧めることはできません。
社会学
国税専門官や国家一般職の専門択一向けに政治学と社会学をしっかりと対策し、これら2科目を得意科目にしていない限りお勧めいたしません。
国税専門官の専門記述における社会学は、近年の傾向に限ってはあまり難易度として高くはないですが、それでも難しいで印象です。
社会学の専門記述向けの参考書も特にないため、対策が大変です。題可能性が高い出題分野を絞って重点的に暗記すればよいため、対策をしやすいですが、
ただ学者名とその研究内容をざっくりと覚えているだけでは、専門記述は解けないため、専門択一の対策より踏み込んだ場所まで暗記しなければなりません。
民法
専門記述の民法は、出題範囲も広く、難易度が高い傾向があるため、よほど民法が得意でない限りお勧めいたしません。
事例問題が多く、過去問が繰り返し出題される可能性は低いです。
模範解答を暗記するといった対策も効果的ではありません。
参考書
【参考】私が選択した科目
私は、経済学をメインとし、サブ科目に憲法を選択しました。
なぜなら、比較的国税専門官の志望度が高く、裁判所も志望していたからです。
国税専門官の5科目のうち経済学を選択した理由は、国税の中では、経済学が一番簡単であると考えたからです。
経済学は、それぞれの単元の大枠を捉えることができていれば、解くことができます。
特に国税専門官、財務専門官の経済学は、出題形態が誘導型(小問に分かれている)ので、しっかりと解法のプロセスを理解している人にとっては解きやすい科目であると言えます。
小問に分けて問われるので出題テーマは、ストーリーが長いところが狙われやすいです。
そのため、経済学は、出題テーマを予想しやすい科目なのです。
例年では大体、小問が3つに分けて問われることが多く、小問2問をしっかりかけていれば、ボーダーに引っかかるといえるでしょう。
経済学を苦手としていない受験者の方は、専門記述での経済学はお勧めです。