今回は、公務員試験を突破するうえで、有利になる学部はあるのか、大学で公務員試験の対策となる授業についてご紹介していきたいと思います。
冒頭から出鼻を挫くことになるかもしれませんが、公務員試験では在籍していた学部はあまり関係ありません。
そもそも有利な学部は存在するのか?
はい、存在します。ただし、公務員試験の面接で有利に働くわけではありません。筆記試験の勉強をする上で少し有利になると言えます。
公務員試験は、大きく筆記試験と面接試験に分かれで行われます。この二つのうち、在籍している学部が試験に影響してくると考えられるのは、筆記試験です。なぜなら、大学の授業で勉強した内容が公務員試験で出題される学部があるからです。
つまり、公務員試験の勉強がしやすくなるわけです。ただし、筆記試験を合格できれば、在籍している学部は関係ありません。
いま、在籍している学部が筆記試験において有利に働く可能性をご説明しました。ただ、筆記試験だけに有利とは言い切れない面もあるため補足します。
自分と同じ学部を卒業し、志望先の試験種で働いている先輩が多い場合は、OB・OG訪問や大学に就職説明会等に参加する機会にふれやすく、公務員試験の情報を得やすいという面で有利に働くかもしれません。
とはいいつつも、OB・OG訪問や大学の就職説明会は学部関係なく大学単位で行われるので、同じ大学であれば、自分と異なる学部を卒業した先輩と話せる機会はあるかと思います。
部活やサークル、バイト先が一緒であったなど接点が少なからずあったのなら尚更です。在籍している学部はあまり関係ないでしょう。正直、自分で情報を取りに行く姿勢次第です。
公務員試験で有利な学部とは?
上記でもお話ししましたが、公務員試験の選考に直接的に有利に働く学部はありません。筆記試験の勉強で有利に働く学部があるのです。
その学部は、主に法学部と経済学部です。
この2つの学部は、国家総合職、国家一般職、国家専門職(国税専門官、財務専門官、労働基準監督官)、裁判所総合職、裁判所一般職、衆議院総合職、衆議院一般職、東京都庁、特別区、地方上級(道府県庁、政令市役所)に有利に働くといえます。
これらは、専門択一試験や専門記述試験を課す試験種です。専門択一試験や専門記述試験で課される科目の中に、法学部や経済学部で学ぶ科目が含まれているわけです。
その具体的な科目については、以下の記事でご紹介しています。参考にしてください。
一方、B日程市役所やC日程市役所は、筆記試験試験では専門試験を課さず、教養試験と論文のみを課すという自治体が多いため、大学の学部がどこであろうとあまり影響はしないでしょう
教養試験は、高校までの国数英理社で学んだ内容をベースに作られています。特に英語や日本史、世界史、地理、倫理、物理、化学、生物あたりは、高校の復習です。
教養試験で苦戦する学生を多くいるため、むしろ高校が普通科であった大学生や、高校が国数英理社をしっかりと勉強させるコースに在籍していた大学生の方が有利かもしれません。ただ、公務員試験の教養試験は、高校当時学んでいた国数英理社の難易度と比べ低く、5つの選択肢から1つを選ぶ択一式なので、対策をすれば商業高校のような普通科でない高校に通われていた方でも十分合格することができます。
教養試験の詳細については、以下の記事でご紹介しています。
法学部で学ぶ科目を課す試験種
国家一般職
→憲法6問、行政法6問、民法(総則と物権)6問、民法(債権と家族法)6問
国税専門官
→憲法3問、行政法3問、民法6問、商法(会社法)2問
財務専門官
→憲法6問、行政法8問、商法(会社法)2問
裁判所一般職
→憲法7問、民法13問、刑法10問
地方上級(全国型)兵庫県、京都府、広島県、福岡県等
→憲法4問、行政法5問、民法4問、刑法2問、労働法2問
地方上級(関東型)神奈川県、埼玉県、千葉県等
→憲法4問、行政法5問、民法6問、刑法2問、労働法2問
経済学部で学ぶ科目を課す試験種
国家一般職
→ミクロ経済学6問、マクロ経済学6問、財政学・経済時事6問
国税専門官
→ミクロ経済・マクロ経済・経済時事6問、財政学6問
財務専門官
→ミクロ経済学3問、マクロ経済学3問、経済時事2問、財政学6問、統計学6問
裁判所一般職
→ミクロ経済学・マクロ経済学10問
地方上級(全国型)兵庫県、京都府、広島県、福岡県等
→ミクロ経済学・マクロ経済学・経済時事9問、財政学3問
地方上級(関東型)神奈川県、埼玉県、千葉県等
→ミクロ経済学・マクロ経済学・経済時事12問、財政学4問
履修しておくと良い大学授業
法学部や経済学部の方はもちろん、その他の学部の方でも、以下にあげるような大学の講義を受講することができるのなら、受講しておくと良いかもしれません。単位も取ることができ、公務員試験の対策にもなり一石二鳥です。私は、ここであげるような大学の講義を出来るだけ取るよう心がけました。
国家総合職、国家一般職、裁判所総合職、裁判所一般、国家専門職(国税専門官、財務専門官、労働基準監督官)、地方上級(道府県庁)
→憲法、民法、行政法
ミクロ経済学、マクロ経済学、財政学
裁判所一般職、地方上級(道府県庁)
→刑法
国家一般職、国家専門職(国税専門官、財務専門官、労働基準監督官)、地方上級
→社会学、経営学、政治学
国家専門職(国税専門官)
→会計学、商法(会社法)
労働基準監督署、地方上級(道府県庁)
→労働法
私の大学の先輩は、大学の講義で学んだ分野(マクロ経済)がそっくりそのまま国税専門官の専門記述試験に出題されたため、専門記述の対策を全くしていなかったため命拾いしたとおっしゃってました。
もしかしたら、大学の講義で学習した分野がそのまま出題されることがあるかもしれません。ただし、この先輩のような展開は、レアケースです。大学の講義の内容が出題される確率の方が低いので、大学の講義に頼りすぎるのも注意が必要だと思います。
公務員試験の勉強をしている時に大学の講義でやった内容を見つけたとき、どのような感覚かといいますと、
「あっ!なんか見覚えがある内容だな、そうだ!大学の講義でやった内容だ!そう言えば、教授もこの参考書と同じようなこと話してたな…忘れてた。」このような感覚です。
大学の講義でやったからといってすぐに公務員試験の過去問が解けるようになるわけではありません。公務員試験に合格した法学部の友人は、「大学で民法の勉強をしているけど、公務員試験の過去問を初見で正答することは難しい」とよくぼやいていました。
つまり、大学の講義で受講したからといって公務員試験の問題がすぐに解けるわけではないのです。大学の講義の位置付けは、あくまで取っ掛かりやすくするための手助け程度がよいかもしれません。