今回は、国税専門官の一次試験におけるボーダー(合格最低点)や足切りライン、最終合格の安全圏についてご紹介していきたいと思います。
筆記対策をする上で目標点数の一つの目安にしてみて下さい。
今回の記事を読んだ上で、自分の目標点数を設定し、その点数から逆算して各科目何点取れば良いのか分析してみることをお勧めいたします。
ちなみに2018年度及び2019年度のデータは下記の記事に掲載していますので、参考にしてください。
ボーダー(合格最低点)に対する考え方
毎年、試験問題の難易度によって一時試験の合格最低点は大きく変動するため、一概に点数を上げることはできません
しかし、難易度が高い年と難易度の低い年の合格最低点を知ることで大体の基礎能力試験と専門択一試験でどの程度の点数を獲得すれば良いのかが明確になってきます。
しかし、ここで注意していただきたいのが合格最低点をとれば良いと言うものではないことです。
合格最低点はあくまでも一次試験を通過するために必要な点数です。
最終合格するためには、合格最低点付近の点数の場合、二次面接試験や専門記述試験(試験日は一次試験だが、二次試験として扱われる)においてかなりの高得点を取る必要があります。当然、面接試験ではA評価を取る必要があります。
しかし、面接試験等で高評価を取ることは容易ではありません。
そのため、一次試験でなるべく高得点を取り、余裕を持って二次試験に臨みたいものです。
国税専門官のボーダー
早速、過去の国税専門官の過去ボーダーをご紹介していきます。
以下に近年における国税専門官一次試験の合格最低点の目安を掲載します。
国税専門官一次試験ボーダーの例
平成25年
基礎:専門=[24:23]、[37:12]、[12:33]
平成26年
基礎:専門=[21:21]、[31:12]、[12:30]
平成27年
基礎:専門=[19:19]、[27:12]、[12:25]
平成28年
基礎:専門=[20:21]、[30:12]、[12:29]
平成29年
基礎:専門=[19:19]、[27:12]、[12:24]
平成30年(2018年)
基礎:専門=[19:19]、[26:12]、[12:25]
令和元年(2019年)
基礎:専門=[19:19]、[26:12]、[12:26]
令和2年(2020年)
基礎:専門=[20:14]、[23:12]、[12:21]
過去のデータから問題の難易度が高かった平成30年は、基礎能力試験で26点取ることができれば、専門試験で12点取ることで一次試験は突破できました。
また、基礎能力試験が12点であった場合、専門試験で24点を取ることができれば合格できたことになります。
逆に、問題の難易度が低く、易化した年である平成25年は、基礎能力試験で37点も取らなければ、専門試験12点一次試験は突破できませんでした。
基礎能力試験が12点であった場合、専門試験で33点を取らなければ合格できなかったことになります。
新型コロナウィルスの感染拡大の影響で、国税専門官の試験日程の延期や他の試験種の試験日程の変更の影響で、2020年は一次試験のボーダーがかなり下がりました。
2020年のボーダーは、基礎能力試験で20点取ることができれば、専門試験で14点取ることで一次試験は突破することが出来ました。また、基礎能力試験で12点取れば、専門試験で21点取ることで一次試験は突破することが出来ました。
2020年は、近年稀にみる易化した年であるといえます。
難化した年である平成27年や平成30年は、基礎能力試験19点、専門択一試験19点を取っていれば、一次試験通過することができました。
一方、易化した年である平成25年は、基礎能力試験24点、専門択一試験23点を取っていれば一次試験通過できたことになります。
2020年の一次試験のボーダー
先ほどご紹介しましたが、2020年度の国税専門官の一次試験のボーダーは、一例ですが、基礎能力試験:専門択一試験=[20:14]、[23:12]、[12:21]となっています。
下記の表で具体的なボーダーをご紹介します。
2020年度 国税専門官採用試験 一次試験のボーダー
ピンク色に塗られているエリアが一次試験の合格者の得点エリアです。
縦軸が基礎能力試験の得点、横軸が専門択一試験の得点です。
基礎能力試験で5割(20点)、専門択一試験で5割(20点)の点数を取っていれば、一次試験は通過することが出来ました。
参考までに計算方法を掲載します。
2020年度 国税専門官採用試験のデータ
一次合格点 213
基礎能力試験 平均点 22.175 標準偏差 5.407
専門択一試験 平均点 20.792 標準偏差 6.551
出典)https://www.jinji.go.jp/saiyo/siken/heikin/shikenu5_heikin.pdf
一次試験の合格エリアの計算方法
213<=10*2/9*(15*(X-22.175)/5.407+50)+
10*3/9*(15*(Y-20.792)/6.551+50)
X:基礎能力試験の素点
Y:専門択一試験の素点
出典)https://www.jinji.go.jp/saiyo/siken/sennmonnsyoku_daisotsu/kokuzei/kettei21.pdf
国税専門官採用試験の特徴
これまでご紹介した数字から見てわかる通り、その年の難易度によってボーダーに差があります。
国税専門官の合格最低点は、極端に高くなることは少なく、出題形式が類似している国家一般職試験と比較したとしても、点数だけ考えれば国家一般職の方が合格最低点が高い傾向にあります。
そのため、国税専門官の一次試験は、簡単とまで言いませんが、他試験種と比較した場合、難しくはないでしょう。
裏を返せば、一次試験の合格者が多い分、二次の面接試験、採用面接でふるいにかけられる印象です。
国税専門官は、面接が重視されます。
筆記で上位1割に入っても、面接が振るわず採用の電話が来なかった友人もいました。
国税専門官の志望度が高い方は、筆記試験の対策もやりつつ、面接対策にも力を入れましょう。
足切りの点数(基準点)は11点以下
結構から申しあげると、一次試験の足切り点数は、11点以下です。
国税専門官の足切りの点数は、基準点と呼ばれるもので、基準点が12であることから、12に満たない点数を基礎能力試験か専門択一試験のどちらかで取ってしまうと足切りされてしまいます。
つまり、11点以下の点数を取ってしまったら、足切りとなってしまいます。
専門記述の足きりは30点
専門記述試験の足切りライン(基準点)は、30点(100点満点中)です。
つまり、専門記述が30点未満の場合は、たとえ択一試験で満点に近い点数を取ったとしても不合格となってしまいます。
また、専門記述の平均点は、例年50点台前半となっています。
2029年の専門記述の結果をもとに標準点に換算しますと、
素点100点=192.8点、
素点90=175.4点、
素点80点=158.0点、
素点70点=140.6点、
素点60=123.2点、
素点50点=105.8点、
素点40点=88.4点、
素点30点=71.0点となっています。
大体この専門記述50点というのは、面接試験のC評価とB評価の点数の間に値する点数となります。
面接A評価の得点が専門記述の約75点と同じくらいかと思います。
つまり、専門記述の点数は意外と重いのです。
人物試験の足きりはD評価
人物試験は、A~E評価の段階評価となっており、A評価が最も高評価です。
人物試験の足切りライン(基準点)は、D評価です。
D評価以下となった場合、筆記試験で満点であろうと不合格となってしまいます。
標準点に換算しますと、A評価が159点、B評価が126点、C評価が98点となっています。(2020年度の場合)
一次試験は何点とれば安全圏なのか?
ボーダーの点数ではなかなか最終合格は難しいとなると、一次試験で何点取ることができたら安全なのかという問題になることでしょう。
結論、2020度の場合、基礎能力試験で5.5割程度(22点)、専門択一試験で5.5割程度(23点)でした。
何をもって安全圏であるとは一概にいうことは出来ませんが、今回は安全圏の得点の定義を「専門記述が基準点(合格最低点30点)かつ面接試験で評価Cであった場合、最終合格に必要な一次試験の点数」としました。
つまり、面接試験と専門記述が足切りラインギリギリであった場合、一次試験で何点取れていれば最終合格することができる点数を安全圏の得点とします。
今回は、直近の2020年度のデータから分析するものとします。
そこで私が公表されているデータをもとに分析してみた結果、以下のような点数を取ることができれば一応1つの指標としての安全圏であるといえるでことになります。
2020年度国税専門官採用試験一次試験における安全圏得点(専門記述30点、面接C評価で最終合格)
※面接C評価、専門記述30点だった場合は、一次試験の得点が橙色エリアの受験者が最終合格
2020年度国税専門官採用試験一次試験における安全圏得点(専門記述50点、面接C評価で最終合格)
※面接C評価、専門記述50点の場合は、一次試験の得点が黄色エリアの受験者が最終合格
表から2020年度国税専門官採用試験では、橙色の部分(面接C評価、専門記述30点の点数を取った場合)の得点を一次試験で獲得していれば最終合格できたことになります。
面接C評価、専門記述50点だった場合、黄色の部分の得点を一次試験で獲得していれば最終合格できたことになります。
2020年度の場合、基礎能力試験で5.5割(22点)、専門択一試験で5.5割(23点)を獲得していれば、二次試験で足切りギリギリの得点をとっていたとしても最終合格できていたことになります。
この点数比は、例年よりも低く、2020年度は易化した年となりました。
極端なことを言えば、2020年度は、仮に基礎能力試験が12点だとしたら専門択一で38点取っていれば最終合格、専門択一が12点なら基礎能力試験で33点をとっていれば最終合格していたことになります。
例年の国税専門官採用試験は、基礎能力試験で7割(28点)、専門択一試験で7割(28点)を獲得していれば、最終合格が可能であると言えます。
これから国税専門官を目指される方は、基礎能力試験で7割(28点)、専門択一試験で7割(28点)よりも高い点数を取ることを目標に学習を進めると良いでしょう。
参考までに計算方法を掲載します。
2020年度 国税専門官採用試験のデータ
最終合格点 382
基礎能力試験 平均点 22.175 標準偏差 5.407
専門択一試験 平均点 20.792 標準偏差 6.551
専門記述試験 満点100 基準点30 平均点 53.046 標準偏差 19.168
面接試験 C評価 98点 B評価 126点 A評価 159点
出典)https://www.jinji.go.jp/saiyo/siken/heikin/shikenu5_heikin.pdf
計算方法(面接C評価、専門記述試30点の場合)
382<=10*2/9*(15*(X-22.175)/5.407+50)
+10*3/9*(15*(Y-20.792)/6.551+50+10*2/9*(15*(30-53.046)/19.168+50)+2/9*98
X:基礎能力試験の素点
Y:専門択一試験の素点
出典)https://www.jinji.go.jp/saiyo/siken/sennmonnsyoku_daisotsu/kokuzei/kettei21.pdf
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