国家一般職は、最終合格しただけでは国家公務員として働くことはできません。
国家公務員として働くためには、各官庁に面接の予約をし、直接受験者が足を運んで採用面接を受け、その官庁から採用内定をもらう必要があります。
このような官庁での採用面接を公務員試験では官庁訪問と呼ばれています。
官庁訪問における面接の回数は、各官庁によって異なります。
本省は、1回で面接が終わるといったケースはほとんどなく、多ければ10回以上の面接がある官庁も存在します。
一方、出先機関は1回~5回程度と面接回数は少ない傾向にあります。
この官庁訪問について詳しく解説した記事も書いていますので、ぜひ参考にして頂けたらと思います。
先回、この官庁訪問について具体的なイメージを持っていただくために、私が経験したある官庁の官庁訪問についてご紹介紹介させていただきました。
今回は、より具体的な内容についてご紹介するため、私が官庁訪問をした受験先の一つである地方検察庁についてご紹介していきます。
地方検察庁についてご紹介させて頂いた記事も書いていますので、併せて参考にご覧下さい。
また、同じく私が経験した都道府県労働局の官庁訪問についてもご紹介しています。本記事と併せてご覧ください。
前置きが長くなってしまいましたが、早速、地方検察庁の官庁訪問を含む一連の選考の流れをご紹介していきます。
官庁合同説明会 7月中旬
都道府県立の会議場にて、人事担当者から地方検察庁の業務に関する大まかな説明を受けました。
説明会の内容としては、地方検察庁の所管業務や地方検察庁とはどのような機関か、検察事務官の仕事はどのようなものかについて説明がありました。
質問は挙手制でしたが、大規模な会場であったことから受験者による個別の質問はあまりなされませんでした。
説明会の終わりに地方検察庁の個別業務説明会に予約を受付していました。私は、そこで予約をしました。
ここで注意していただきたいのが、官庁訪問の前から選考が始まっているという点です。(しかし、全ての地方検察庁が官庁訪問前から選考をしているとは限りません。)
この官庁合同説明会では、人事担当者がメモを取るような行為する様子はなく、選考がなされてはいませんでしたが、次の個別業務説明会では選考がなされていた可能性があります。
地方検察庁についは、官庁訪問の前の官庁合同説明会から参加することをおすすめしたます。
個別業務説明会の予約をスムーズに取ることでき、今後の選考に有利に働く可能性があるからです。(ただし、個別業務説明会からの参加でも特段不利ということはありません。あくまで個別業務説明会の予約が取りやすいという話です。)
個別業務説明会(1回目) 7月中旬
個別業務説明会は2回に分けて行われ、どちらも地方検察庁で行われました。
会場に着くと座席指定がされており、それぞれの受験者ごとで指定された席に着席するよう求められました。
その後、机上にある訪問カードに住所、氏名、年齢等の受験者の簡単な基本情報を記入し、説明会が開始するまで待機していました。
参加予定者が全員会場に到着し、開催時間になったと同時に人事担当者による地方検察庁の業務説明が始まりました。
業務説明の時間は約30分であり、内容は官庁合同説明会と大きく異なることはありませんでしたが、検察事務官の仕事についてビデオで分かりやすく説明をしていただきました。
業務説明を終えると、質疑応答の時間が設けられ、複数のグループにグループ分けされた後、ブースごとで地方検察庁の職員と質問会がありました。
この間に受験者の後ろには人事担当者が立って質疑応答の様子を見ながらメモを取っていました。
この質問会から選考が始まっていた可能性があります。
最後に2回目の個別業務説明会の予約ができる機会が設けられ、そこで次回の説明会の予約をしました。
個別業務説明会(2回目) 7月下旬
一回目の個別業務説明会と同じく、会場に着くと座席指定がされており、それぞれの受験者ごとで指定された席に座るするよう求められました。
ちなみに一回目よりも参加人数は少ないようでした。
ここからは一回の説明会と異なり、訪問カードを記入することなく、人事担当者と若手職員によるインタビュー形式の業務説明から始まりました。
その後は、一人ずつブースに分かれ職員:受験者=1:1の個別質問会が行われました。
この質問会は、今までの質問会とは異なり、基本的には受験者からの質問に職員が次々と答えていく形式でした。
そのため、この説明会に参加する前に職員に聞く質問をいくつも用意しておく必要があります。
職員はメモを取っており、ここで質問する内容から受験者の志望度の高さ等を測られている可能性があるため、事前の質問の準備は必須かと思います。
これまでの説明会を踏まえて疑問に思ったことなどを質問すると良いでしょう。
個別質問会は15分ほどで終わりましたが、最後に職員からも私に対していくつか質問がありました。
職員からの質問としては、併願先と志望動機、居住地です。
終了後に官庁訪問初日に枠を確保しておくから来てほしいと言われ、事実上その場で官庁訪問の予約をする形となりました。
官庁訪問(1回目) 8月中旬
会場に到着すると指定された席に着席し、訪問カード(履歴書のようなもの)を記入するように言われました。
訪問カードに記入する主な内容としては、
➀志望動機、②併願状況、③これまでに力を入れて取り組んだこと、④自己PR、⑤趣味・特技です。
基本的には一般的な公務員試験の面接カードと同じ内容です。
私が受験した地方検察庁は、訪問カードは事前に記入して持参する形式ではなく、官庁訪問当日にその場で記入する方式でした。
そのため、官庁訪問当日までに履歴書のような訪問カードを記入していない方は、予め訪問カードに記入する内容をメモ帳などに記入して官庁訪問に臨むことを強くおすすめします。
訪問カードを記入後、別室に移動し面接官2人との個別面接が行われました。
面接の質問の中で他の地方検察庁の受験状況についても聞かれ、面接も知っていたことから地方検察庁の志望度が高い方は、複数の地方検察庁の受験をおすすめします。
1回目 個別面接 (20分)
面接官:受験者=2:1
【質問内容】
1.なぜここの地方検察庁を受験しようと思ったのか
2.地方検察庁に入庁したらどのような仕事をしてみたいか
3.もし採用された場合、実家から通うのか、一人暮らしをするのか
4.ここの地方検察庁の異動先を理解しているか、また異動は大丈夫か
5.併願先はどこか
6.もし併願先に受かったらどうするか
7.他にも地方検察庁を受験しているか
8.これまでに力を入れて取り組んだこと
感想とアドバイス
面接官の年齢は30代〜40代の比較的若い中堅職員のようでした。面接官が机の前に置いてある紙を見ながら質問している様子だったので、予め質問する内容は決まっており用意しているような様子でした。
質問の内容としては、基本的に訪問カードの内容から聞かれました。
個別業務説明会に関連する質問もあり、職場の理解度をはかっているように感じました。
他の地方検察庁の受験状況についても聞かれ、面接官も把握しているような様子であったため、地方検察庁の志望度が高い方は複数の地方検察庁を受験することをお勧めします。
地方検察庁の担当者同士で受験者の情報共有をしている可能性があります。それを踏まえた面接での回答をする必要があるでしょう。
官庁訪問(2回目) 8月下旬
1回目の官庁訪問が終わった後、地方検察庁から採用面接をセットしたため来るよう入電があったため、1回目の官庁訪問から5日後の指定された日時に2回目の官庁訪問をすることになりました。
1回目の官庁訪問とは異なり、面接官の人数も5人と増えており、年齢も高めの職員で構成されていました。
おそらく一回目の面接官よりも役職が上がったのだと思います。
2回目 個別面接 (30分)
面接官:受験者=5:1
【質問内容】
1.他の地方検察庁ではなくここの地方検察庁を志望した理由は?
2.併願状況について教えて
3.受かったらここに来てくれるか?
4.学生時代に力を入れて取り組んだことは?
5.その経験を地方検察庁でどう活かすか?
6.その経験を活かすために心掛けていることはあるか?
7.親は地方検察庁を志望することについて何と言っているか?
8.ストレス解消法は?
9.自己PRと具体的なそのエピソードを教えて
10.その長所をどう仕事に活かすか?
感想とアドバイス
面接官の年齢層は、40代〜50代の幹部職員のようでした。1回目の面接よりも時間が長かったですが、他試験の面接試験でも聞かれるような基本的な質問ばかりであったため、比較的答えやすいものでした。
これまでの経験を地方検察庁でどう活かしていくのかをしっかりと話せると良いのではないでしょうか。
採用面接後が終わった後、2時間弱待ち時間があり、他の受験者の面接が一通り終わるまで待機していました。
その後に内々定を告げられたため、面接前から採用者の目星をつけているとは言えず、2回目の面接が本当の勝負のように感じました。
2回目の面接で内々定をもらえなかった人もいたようで、地方検察庁は採用面接の最後まで気が抜けません。
内々定を告げられた際に、担当者は「採用面接の評価が高かったため採用したい、業務説明会の時から見てはいたが、採用面接の結果で内々定を決めた」とおっしゃていたことから、地方検察庁は採用面接が勝負かもしれません。
ただし、業務説明会の段階から受験者の目星をつけていたようですので、個別業務説明会から志望度の高さはアピールしておく必要はあります。