市役所の採用試験を受験しようとすると、A日程市役所であったり、B日程市役所であったり、市役所の頭にアルファベットがついているのをよく見ますよね。
「難易度で分けられているのでしょうか?」
「1つの自治体をA日程、B日程、C日程と複数回受験することができるという意味でしょうか?」
こういったように、○日程市役所という言い回しに疑問を持たれている方がいらっしゃるかと思います。
公務員試験の勉強を始める前までは私もその1人でした。
今回は、上記のような疑問を持っている方のために、○日程とは何か?、市役所の日程ごとの違いについて解説していきたいと思います。
市役所試験とは?
現在、全国の市役所の数は、792もあります(政令指定都市を含む)。
地方公務員の中でも道府県と政令指定都市のほとんどが、同じ日(例年だと6月の第4日曜日)に一次試験(筆記試験)を行っています。
道府県と政令指定都市は、地方上級と呼ばれる名称の試験で筆記試験を行なっています。
一方、政令指定都市を除く市役所は、A日程市役所と呼ばれたり、C日程市役所と呼ばれたりしています。
一部の市役所を除いて全国の大多数の市役所が6月下旬から10月にかけて一次試験(筆記試験)を行っており、市役所によってその日程も異なります。
そのため、他の公務員試験と併願しやすいのが特徴です。
日程の違いは試験日が違うだけ?
市役所の試験は、主にA~D日程の4つに区分されます。
A〜D日程の意味は何なのか、その違いは何なのでしょうか?
A~D日程の大きな違いは、その名の通り試験日程の違いです。
つまり、一次試験(筆記試験)の実施日が違うのです。
では、それぞれの試験日程についてご紹介していきます。
A日程
一次試験(筆記試験):例年6月第4週の日曜日が筆記試験
B日程
一次試験(筆記試験):例年7月第2週の日曜日が筆記試験
C日程
一次試験(筆記試験):例年9月第3週の日曜日が筆記試験
D日程
一次試験(筆記試験):例年10月第3週の日曜日が筆記試験
ただし、A〜D日程の違いは、試験日だけではありません。
実施される試験の中身や問題の内容も異なります
以下、その詳細についてご説明します。
具体的にそれぞれ何が違うの?
政令指定都市を除いて全国の市役所試験は、一次試験の実施日、試験の中身、問題の内容によって、A日程、B日程、C日程、D日程に分かれます。
また、A~D日程以外の日程で試験を実施する市役所もあります。
こうしたことから、志望する市役所の組み合わせによって、3箇所程度は異なる市役所を併願受験できるわけです。
次にそれぞれの日程の特徴をご紹介していきます。
A日程例年6月第4週の日曜日が筆記試験
県庁所在地にある市などの比較的大きな市がこれにあてはまります。
教養試験(基礎能力試験)だけでなく、専門試験も課される傾向にあります。
教養試験、専門試験ともに地方上級(全国型)すなわち県庁の筆記試験と同じ問題が含まれています。
つまり筆記試験の問題自体の難易度は県庁レベルと同じということです。
市役所の筆記試験においては、他の日程よりも難易度が高い傾向にあります。
一次試験の実施日もだいたい道府県庁の一次試験と同じ日に行われます。
そのため、道府県庁と併願することは困難です。
都庁は試験日が道府県庁より早いので、併願することができます。
試験日が被らなければ、国家公務員との併願もできます。
B日程例年7月第2週の日曜日が筆記試験
教養試験と専門試験の両方が課される自治体もあれば、教養試験だけ課される自治体、教養試験と論文試験が課される自治体もあります。
ただし、専門試験を課す自治体は減少傾向にあるため、教養試験と論文試験だけを課す自治体が増えてきています。
都道府県庁との併願も出来ます。
試験日が被らなければ、国家公務員との併願もできます。
A日程と比べて筆記試験の問題は、少々易しくなります。
C日程例年9月第3週の日曜日が筆記試験
全国の市役所でもっとも多くの市がこのC日程で試験を行っています。
B日程同様、教養試験と専門試験の両方が課される自治体もあれば、教養試験だけ課される自治体、教養試験と論文試験が課される自治体もあります。
これもB日程と同じですが、専門試験を課す自治体は減少傾向にあるため、教養試験と論文試験だけを課す自治体が増えてきています。
B日程とC日程の違いは、一次試験の実施日の違いだけで試験内容はあまり変わらない印象です。
都道府県庁との併願も出来ます。
試験日が被らなければ、国家公務員との併願もできます。
筆記試験の難易度もB日程と変わりません。
D日程例年10月第3週の日曜日が筆記試験
B日程やC日程同様、教養試験と専門試験の両方が課される自治体もあれば、教養試験だけ課される自治体、教養試験と論文試験が課される自治体もあります。
これもB日程、C日程と同じですが、専門試験を課す自治体は減少傾向にあるため、教養試験と論文試験だけを課す自治体が増えてきています。
B日程、C日程およびD日程の違いは、一次試験の実施日の違いだけで試験内容はあまり変わらない印象です。
都道府県庁との併願も出来ます。
試験日が被らなければ、国家公務員との併願もできます。
試験の難易度もB日程、C日程と変わりません。
市役所の教養試験と専門試験とは?
ここからは、市役所の教養試験と専門試験について簡単にご説明します。
市役所の教養試験と専門試験についてより詳しく知りたい方は、以下の記事をご覧ください。
教養試験
教養試験は、基礎能力試験とも呼ばれ、公務員としての基礎的な知識や能力を評価するものです。
①~⑤の5つの選択肢から正解の選択肢を一つ選ぶ択一式です。
この選択問題が40~60問出題されます。
制限時間は、75~120分です。
この教養試験は、ほとんどの市役所で課されています。
教養試験の問題は、「一般知能」と「一般知識」で構成されています。
専門試験
専門試験の問題は、採用区分別に一般事務、電気、土木などに分かれます。
一般事務の専門試験の場合、①~⑤の5つの選択肢から正解の選択肢を一つ選ぶ択一式です。この選択問題が30~40問出題されます。
解答時間は、30問で90分もしくは40問で120分です。
出題内容は、大学の専門課程の内容です。
政治学、行政学、社会政策、国際関係、憲法、行政法、民法、刑法、労働法、ミクロ経済学・マクロ経済学、財政学、経済政策、経済学史、経済史、経済事情から出題されます。
同じ自治体で一年に複数回受験できるのか?
結論から申し上げると、同じ自治体で一年に複数回受験することはできません。
〇〇市役所のB日程を受験し、同じ〇〇市役所C日程をまた受験することはできません。
そもそも一つの市役所が複数の日程で採用活動を行なっていることはありません。
ただし、大卒程度試験と高卒程度試験の両方を実施する市役所はたくさんあります。
この場合も、同じ自治体の大卒程度試験と高卒程度試験の両方を受験することはできません。どちらか一つです。
さらに、高卒程度試験は、受験資格が高校卒業以下の方しか受験することができません。
つまり、大学生が高卒程度の公務員試験を受験することはできません。
一般的に公務員試験は、高卒程度の試験区分については、受験申込時点で、大学、短大(短大扱いを含む。)及び高専を卒業又は在学中の人は、受験することができないのです。
こうしたことから、併願することができるのは、異なる自治体の異なる日程の組み合わせということなります。
例えば、A日程に行われる〇〇市役所と、B日程に行われる▲▲市役所を併願するとかなら大丈夫です。