【官僚・キャリア】国家総合職の年収と出世事情

国家総合職
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公務員試験の中でも最難関クラスの国家総合職。

キャリア組と呼ばれる国家総合職は、公務員のあらゆる試験種のなかでも難易度はトップクラスですが、その給料もトップクラスです。

以前の記事で代表的な公務員の初任給についてご紹介させていただきました。

公務員の初任給を比較【国家公務員と地方公務員】
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その中で国家総合職は、国家一般職に比べ、初任給は大きな差があるわけではありませんが、その後の給与の伸びに大きな違いがあるということをお話ししました。

また、前回の国家一般職の昇進フローと給与について書いた記事においても、国家一般職に比べた国家総合職の昇進スピードの速さをご紹介したところです。

国家一般職の年収と出世事情【どこまで上がる?】
国家一般職は、キャリア組である国家総合職に比べてると昇進は遅いと言われていますが、定年を迎える頃には、どのくらいの役職になっているのか気になる方がいらっしゃるかと思います。昇進は、給与に密接に関係しているため、年収フローにも大きく影響してき

そこで今回は、キャリア組と呼ばれる国家総合職がどれほどの昇進スピードで、定年を迎える頃には、どのような役職になっているのかご紹介していきます。

昇進は、給与に密接に関係しているため、年収フローにも大きく影響してきます。

そのため、以前にご紹介した国家一般職の給与に関する記事と併せてご覧いただくとより国家総合職について理解が深まるかと思います。

まずは、国家総合職の昇進フローをご紹介した上で、年齢層やそれぞれの役職ごとに対応する給与等も参考にご紹介していきたいと思います。

国家総合職の昇進の流れ

では早速、国家総合職の昇進フローを見て行きたいと思います。下の表をご覧ください。

国家総合職の昇進フロー

職務の級年齢目安本省出先機関
2級20代~30代係員係員
3級係長係長
4級30代~40代課長補佐
5級課長補佐課長・課長補佐
6級課長
7級40代~50代室長部長
8級
9級50代~課長機関の長
10級

参考文献)https://www.soumu.go.jp/main_content/000035136.pdf

国家総合職は、新卒で採用されると2級から始まります。

級とは、簡単に言うと公務員の役職みたいなものです。

国家公務員は、1級と2級が係員、つまり一般職員です。

3級は係長に該当します。4級から本省と出先機関で役職が異なります。

4級の場合、本省は3級と同じ係長、出先機関は、課長補佐に当たります。

ここで示している出先機関の役職は、出先機関本局の役職です。出先機関の支所の役職ではありません。出先機関の支所とは、出先機関の出先です。

国土交通省の出先機関である地方整備局を例に解説すると、本局が〇〇地方整備局であり、支所が〇〇国道事務所に当たります。出先機関の本局の課長補佐は、支所では課長になります。

5,6級になると、本省では課長補佐、出先機関の本局では課長、出先機関の支所では支所長、副支所長に該当します。

6級は、出先機関では本局課長、その上の〇〇〇〇官という役職名のような官クラスです。本省では依然として課長補佐です。

7、8級は、本省では室長クラス、出先機関では支所の長です。

9、10級は本省では課長クラス、出先機関では本局の部長クラスに該当します。

それぞれの役職につく年齢の目安は、表の通りです。ただし、ここで注意していただきたいことが2点あります。

まず、国家総合職の俸給の特徴的な点は、2級から職務級が始まること、そして、10級以上の役職につく可能性があることです。その役職とは、参事官、審議官、局長、事務次官といった指定職です。

国家公務員の指定職について

それでは、指定職について具体的にご紹介していきます。

代表的な指定職は、本省の参事官、審議官、部長、統括審議官、局長、官房長、事務次官等です。

その他、出先機関にも指定職の枠はあります。出先機関の局長や副局長がこれに該当します。

指定職は、これまでご紹介しできた職務級とは別の俸給が適用されます。

ただし、数字が大きくなるごとに役職が上がっていく点は同じです。それでは、具体的な指定職の例を財務省をモデルにご紹介していきます。

指定職は、1号俸から8号俸まで俸給表があります。

国家公務員総合職(財務省)の指定職ピラミッド

出典)指定職俸給表の適用を受ける職員の号俸の定め

https://www.jinji.go.jp/gaisannkyuubetu/31teisuuhyou.pdf

2号俸は、本省及び本庁では参事官、審議官、次長、国税庁部長が該当します。

出先機関としては、財務局長(北海道、東北、北陸、東海、中国、四国、九州)、

税関長(函館、横浜、名古屋、神戸、門司、長崎)、

国税局長(札幌、仙台、関東信越、金沢、名古屋、広島、高松、福岡、熊本)

などが該当します。

3号俸は、本省及び本庁においては総括審議官、政策立案総括審議官、国税庁次長

出先機関では、財務局長(関東、近畿)、税関長(東京、大阪)、国税局長(東京、大阪)。

4号俸は、本省の関税局長

5号俸は、本省において、官房長、主税局長、理財局長、国際局長

6号俸は、主計局長

7号俸給は、財務官、国税庁長官

8号俸は、事務次官となります。

ちなみに昨年、メディア等で連日報道された、佐川元国税庁長官は、7号俸に該当します。

財務省は、局長ごとに号が分かれており、主計局がもっとも高く、大臣官房、主税局、理財局、国際局が並び、その下に関税局が位置します。基本的に局長級は、4号俸と5号俸です。

しかし、財務省の主計局はエリート官庁のさらにエリート局だけあってこ6号俸です。

ちなみにこの財務省主計局は、衆議院議員片山さつき氏が働いていた部署でもあります。

国家総合職の昇進と基本給

国家総合職の昇進フローとそれぞれの役職に対応した概算の基本給を見ていこうと思います。基本給は、「平成30年国家公務員給与等実態調査報告書」をベースに給与を算出しました。

平成30年国家公務員給与等実態調査報告書のうち参考にしたものが、行政職俸給表(一)の給与決定上の学歴別(高校卒・大学卒)、経験年数階層別、級別平均俸給額です。

こちらのデータには、就職年数に応じた国家公務員の基本給が掲載されています。

国家総合職の昇進と基本月給(地域手当等の諸手当を含まず)

職務の級年齢目安本省出先機関概算基本月給
2級20代~30代係員係員185,000円~220,000円
3級係長係長240,000円~280,000円
4級30代~40代課長補佐290,000円~320,000円
5級課長補佐課長・課長補佐320,000円~390,000円
6級課長390,000円~410,000円
7級40代~50代室長部長420,000円~440,000円
8級450,000円~470,000円
9級50代~課長機関の長500,000円~520,000円
10級520,000円~550,000円

出典)平成30年国家公務員給与等実態調査報告書

国家総合職の場合、新卒(大卒)で採用された場合、初任給は185,200円です(平成31年4月時点)。採用時の職務の級は、2級です。

国家一般職のスタートは1級からですが、国家総合職のスタートは2級からなのです。

ただし、国家総合職と国家一般職の初任給の差は、平成31年4月時点で約5,000円です。

職務級が1級も違う割には、基本給はあまり変わりません。

しかし、そこは国家総合職、採用後の基本給の伸びは国家一般職を圧倒します。

採用後、3年程度で係長になります。

その後、5,6年もすれば3級,4級に昇進します。役職は本省係長です。

この頃の3級の基本給は、240,000円〜280,000円、4級の基本給は、290,000円〜320,000円です。

そして、採用後10年も勤務すれば5級に昇進し、本省では課長補佐となります。

国家総合職は、本省課長補佐として40代まで勤務します。

5級、6級の課長補佐は、基本給320,00円〜410,000円です。

40代に入ると7級に昇進し、本省の室長クラスになります。出先機関においては、課長より上の〇〇〇〇官という官クラス、あるいは出先機関の支所の長です。

国家総合職は、基本的にずっと本省で勤務し続けることができるわけではありません。

ある一定期間本省で勤務すると、地方の出先機関に出向することになります。

なので、7,8級の職員の場合、本省室長になったり、出先機関の支所長になったりするわけです。

本省室長クラスに該当する役職の基本給は、420,000円〜470,000円となります。

その後、50代には本省の課長クラスになります。出先機関では、本局部長クラスです。

この頃には基本給が500,000円を超えてきます。本省勤務の場合、霞ヶ関なわけですから地域手当20%となり、基本給+地域手当で、月600,000円以上の給与となります。

国家総合職の年収フロー

ここまでは、国家総合職の毎月の基本給についてご紹介しました。

ここからは、基本給に諸手当を加算した概算の年収をご紹介していきたいと思います。

まずは、内閣官房内閣人事局が公表している年収モデルをご紹介します。

出所)内閣官房内閣人事局「国家公務員の給与(令和2年版)」

https://www.cas.go.jp/jp/gaiyou/jimu/jinjikyoku/pdf/r02_kyuyo.pdf

このデータは、地域手当、本省業務調整手当等の諸手当を含んだ値となっています。

しかし、実際の支給額よりも少々低めの金額となっているように思います。

なぜなら、私が知っている地方機関の課長の年収は、674万円よりももらっているからです。地方機関の規模にも寄りますが、課長クラスになれば700万円以上はもらっています。

地方機関の課長等の具体的な金額については下記の記事でご紹介していますので、ぜひ併せてご覧ください。

【年齢別】国家一般職の平均年収【国家公務員】
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すると、本府省課長補佐や本府省課長等の職員は、この表の金額よりももっと高い金額が支給されていることが予想されます。

では、本省と出先機関における国家総合職の基本的な年収フローをそれぞれご紹介していきます。

国家総合職の昇進と年収(地域手当、本省業務調整手当、特別調整額を含む)

職務の級年齢目安本省概算年収
2級20代~30代係員3,667,200円~4,356,000円
3級係長4,792,800円~5,580,000円
4級30代~40代6,351,600円~7,052,400円
5級課長補佐7,338,000円~8,834,400円
6級8,763,600円~9,406,800円
7級40代~50代室長9,559,200円~10,218,000円
8級10,458,000円~11,275,680円
9級50代~課長11,851,200円~12,568,560円
10級12,676,560円~13,282,800円

出典)平成30年国家公務員給与等実態調査報告書

上記の表に記載の年収は、本省勤務の国家総合職を想定しています。

そのため、地域手当(基本給+20%)、本省業務調整手当が支給されます。

また、これに加えまして、管理職には特別調整額が支給されます。

基本給にこれらの諸手当を加算して計算をしました。

上記年収は、残業代や扶養手当を含んでいないことから、実際の支給は今回ご紹介する数字よりも大きくなることが予想されます。

本省においては、係員では約350万円〜約450万円、係長では450万円〜約700万円、課長補佐では約700万円〜約900万円が相場であると言えます。

そして、室長クラスで約950万円〜約1,100万円、課長クラスで約1,100万円〜約1,300万円になります。

続いて、出先機関勤務(さいたま市)の国家総合職の年収をご紹介していきます。

国家総合職の昇進と年収(地域手当、特別調整額を含む)

職務の級年齢目安出先機関概算年収
2級20代~30代係員3,489,100円~4,149,200円
3級係長4,526,400円~5,280,800円
4級30代~40代課長補佐5,469,400円~6,035,200円
5級課長6,035,200円~7,355,400円
6級7,355,400円~7,732,600円
7級40代~50代部長7,921,200円~8,298,400円
8級8,600,850円~8,983,110円
9級50代~機関の長9,619,750円~10,004,540円
10級10,070,320円~10,651,300円

出典)平成30年国家公務員給与等実態調査報告書

上記の表に記載の年収は、さいたま市にある出先機関勤務の国家総合職を想定しています。

そのため、地域手当(基本給+15%)が支給されます。地域手当の詳細については以下の記事でご紹介していますので、ぜひご覧ください。

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また、これに加えまして、管理職には特別調整額が支給されます。

国家総合職は、出世次第ではその上の役職である、参事官や局長、審議官、事務次官まで出世する可能性があります。

参事官より上の役職になってくると、指定職となり、また別の俸給表から基本給が決定されます。

そこで、次に指定職について各号の具体的な基本給をご紹介していきます。

なお、今回ご紹介する金額は、平成30年12月時点のものです。

指定職の俸給表(月の基本給)

俸給基本給
8号1,175,000円
7号1,107,000円
6号1,035,000円
5号965,000円
4号895,000円
3号818,000円
2号761,000円
1号706,000円

※平成30年12月時点

1号俸からすでに月の給料が700,000円以上ですね。

これは、年収ではありません。月の基本給です。この金額からさらに手当がつきます。

1号上がるごとにより伸びも尋常ではありません。2号に上がると、月5万円以上アップし、761,000円です。

その後、1号昇給するごとに月5万以上上昇し続けます。

6号では、月の基本給が1,035,000円に到達します。

この頃には月の給料がついに100万円を超えます。

7号俸では、1,107,000円、そして最高俸の8号では、1,175,000円となります。

単純計算で12ヶ月をかけてみると、基本給1,175,000円×12ヶ月=14,100,000円です。

その他手当等を含めると、年収15,000,000円以上ですね。

1ヶ月でこの金額です。官僚のトップだけあって破格です。

ただし、大手企業の役員クラスはもっともらっていることでしょう。

国の省庁のトップがこの金額であることを考えると、決してもらいすぎとは言えないかもしれません。むしろもっともらっていてもいいかもしれません。

官僚は日本の未来を背負ってますから。

余談ですが、過去にメディア等で連日報道された佐川元国税庁長官は、7号俸であることから基本給1,107,000円ということになります。

佐川氏は、国税庁長官に就任する前、理財局長でしたので、2号アップしたことになります。

理財局長が基本給だけで年収11,580,000円、国税庁長官が基本給だけで年収13,284,000円ですから、年収が1年で少なくとも200万円以上アップしたことになります。

ボーナスや諸手当等を含めたら300万円以上アップしていることでしょう。