官庁研究シリーズの国家一般職第5回です。
今回は、総務省の出先機関である、総合通信局についてお話ししていきたいと思います。
総合通信局は、情報通信行政を通じて、快適なまちづくりと活気ある地域社会の実現等のあらゆる取り組みをしている官庁です。
総合通信局とは
総合通信局は、情報通信行政を所管する総務省の出先機関です。
主な業務内容としては、不法無線の取り締まりや無線局、放送局の、有線放送の許認可及び検査、地域の情報化推進、信書便事業の監督をしています。
総合通信局の業務内容
本省が「総合的な政策に関する企画・立案」や「大規模、国際的な施策に関する 事務の執行」を行うのに対し、総合通信局では、以下のような取り組みをします。
情報通信行政における施策の具現化
1.無線局の免許、管理
・ 地域の実情に応じた電波の監督・管理(混信回避等)
2.電波利用環境の維持(電波監視等)
・ 特殊機器による違法電波監視
3.電気通信事業の規律・監督
・ ネットワーク接続による広域化
4.地域の情報化の推進
・ 情報通信による地域振興、施策の周知広報等
5.信書便事業の監督
・ 送達過程全般の全体的
〇情報通信技術の利活用
快適なまちづくりと活気ある地域社会の実現
スマートフォンを使って友大地や家族と話したり、情報を共有したりと、身近にICTを利用しています。また、ICTは災害などの非常時に大きな力を発揮するとともに、地域環境の活性化、働き方、防災、医療、教育など、社会にある様々な課題解決のためにも大きな役割を果たすことが期待されています。
〇無線局の管理
情報通信に不可欠な技術の一つが無線通信技術です。
WI-FIや携帯電話が身近になる前から、船舶、航空、鉄道、警察、消防、放送など様々な分野で無線は、私たちの生活を支えてきました。
その無線を安心して使えるよう、国が法律により監理しています。
ICTの利活用推進と共に、無線局の監理は、総合通信局の主な業務の一つです。
近年の重点施策
ICT・IoTの社会実装で地域の課題解決を促進
IoTの利活用の人材育成や研究開発の支援
訪日外国人観光客へのICTを活用したおもてなしの向上
IoTの利活用の人材育成や研究開発の支援
他府省・自治体等との連携や産学官交流による地域の発展
地域におけるIoTの実装に向けた関係機関との連携強化
災害対策用の移動通信機器・移動電源車の貸与
海外に目を向けた情報通信の取り組み
東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会、ラグビーワールドカップ2019日本大会の成功に向けた取組
大会に使用される割り当て可能な周波数の検討
海外から持ちこまれる無線局免許処理体制の確立
競技開催地における不法無線局対策
サテライトファーム周辺の電波環境調査
4K・8Kの推進
関係者よの連携推進
受信環境の整備
第5世代移動通信システム(5G)の推進
2020年の5G実現に向けた取り組み等について積極的な発言
ドローン/ロボット等に対する電波の有効利用の推進
有効利用できるよう、制度の周知、円滑な免許手続き等の施策推進
ネットワークの安心・安全の確保
消費者支援と安心安全なICT利用環境の整備
消費者トラブル解消に向けてた支援
青少年の情報リテラシーの育成
災害に対応する強靭なネットワーク環境の整備
Lアラート(災害情報共有システム)の利活用の促進
災害に強い放送ネットワークの構築を支援
災害発生に備えた通信基盤の整備の促進
非常通信協議会との連携による災害時の支援
適性な電波利用環境の周知啓発・未然防止に向けた取組の推進
電波の安全性の周知啓発
電波利用環境の保護推進
不法無線局対策の継続的実施と未然防止の推進
重要無線通信妨害の妨害減の迅速な排除
24時間体制による重要無線妨害の迅速かつ的確な処理
国際的な電波監視の充実
総合通信局の組織
(関東総合通信局を例に作成)
総務部
総務課
総務・文書・人事・採用・給与等
企画広報室
総合調整・広報・情報公開等
財務課
経理、資材・財産の管理、電波利用料等
信書便監理官
特定信書便事業等の許認可等
情報通信部
電気通信事業課
電気通信事業の登録・届出、電気通信関係の資格等
情報通信連携推進課
民産学官連携、研究開発等
情報通信振興課
情報通信による地域振興等
無線通信部
企画調整課
周波数の管理、電波の利用状況調査、電波利用の推進等
航空海上課
航空・海上関係無線局の許認可等、無線従事者の資格等
陸上第一課
高層建築物の建築に伴う重要無線回線の保護 電気通信事業者等の陸上関係無線局の許認可等
陸上第二課
国・地方公共団体・公共機関・MCA 等の陸上関係無線局の許認可等
陸上第三課
一般企業・アマチュア無線・簡易無線等の陸上関係無線局の許認可等
放送部
放送課
放送局の許認可等
有線放送課
ケーブルテレビ・有線ラジオ・共同受信施設の登録・届出等
電波監理部
電波利用環境課
26.1MHz を超える電波に関する申告受付
登録検査等事業者、高周波利用設備の許認可
電波適正利用推進員制度、電波利用ルールの周知啓発活動等
監視第一課
26.1MHz を超える電波の監視、違法・不法無線局対策等
監視第二課
26.1MHz を超える電波の監視、重要無線通信妨害対策
違法・不法無線局対策等
調査課
26.1MHz を超える電波の電波監視施設の整備・技術調査
発射状況調査等
電波障害分析課
無線通信障害に係る情報の収集・整理、電波監視業務支援等
三浦電波監視センター
宇宙国際監視課
26.1MHz 以下の電波に関する申告受付、電波の監視重要無線通信妨害対策、違法・不法無線局対策
宇宙無線通信業務の電波の監視等
宇宙国際調査課
26.1MHz 以下の電波の電波監視施設の整備・技術調査発射状況調査
宇宙電波監視施設の整備、宇宙無線通信業務の監視等
総括調整官
総合通信相談所 情報通信行政全般の相談窓口
防災対策推進室
情報通信技術による防災減災対策の推進等
総合通信局の必要性
情報通信行政は、ネットワークの全国統一的な監督、ICTが国際競争力の鍵を握るものであることなどから、国による全国的、先進的な対応が必要となります。
特に、電波の周波数の割当計画の策定や国内外の電波監視 などは、全国知事会「出先機関原則廃止PT」中間報告(H22.3.23)においても、「国家的な視点から国が事務を行う必要がある」とされています。
地方自治体に取って代わる可能性が低いということ、つまり総合通信局解体の可能性が低く、存在可能性が高い機関であると言えます。
各地方の総合通信局
国11局(沖縄事務所含む)
(北海道、東北、関東、信越、北陸、東海、近畿、中国、四国、九州、沖縄)
※県単位事務所なし
総合通信局のおすすめポイント
総合通信局のおすすめポイントは、国家公務員であるにも関わらず、庁舎や事務所の異動がほとんどないことです!
総合通信局は、県単位事務所が少なく、各地方の合同庁舎等で勤務し続けることができる可能性が高いです。
本省へ出向することを除けば、ずっと各地方の総合通信局の本局に通勤し続けている職員の方もいるでしょう。
これには、大きなメリットが2つあります。
①転居をする必要がない。
国家公務員は、県をまたぐような転勤が付き物ですが、総合通信局ではまずありません。
②地域手当が良い地域で勤務し続けることができる。
国家公務員の給与には、地域手当という手当が含まれます。
つまり、簡単に言ってしまえば、給与が良いということです。
地域手当は、都会で勤務している場合、手厚くつく傾向にあります。
地域手当について
例えば、東京勤務の国家公務員の場合、基本給に120/100を乗じた額が支給されます。
つまり、仮に基本給 250,000円(月単位)の場合、地域手当として50,000円(月単位)が支給されることになります。年間では、600,000円です。結構大きな金額ですよね。
各地域にある総合通信局は、各地方の中心都市に所在しているため、基本給に乗じられる地域手当が大きい傾向にあります。
◯地域手当
東京特別区
120/100
大阪市、横浜市
116/100
さいたま市、千葉市、名古屋市
115/100
神戸市
112/100
水戸市、大津市、京都市、奈良市 広島市 福岡市
110/100
仙台市 宇都宮市 甲府市 静岡市 岐阜市 津市 和歌山市 高松市
106/100
札幌市、前橋市、新潟市、富山市、金沢市、福井市、長野市、岡山市、徳島市、長崎市
103/100
参考文献