「検察事務官になるにはどうすればいいの?」という質問をいただくことがあります。
検察事務官は、国家公務員の中でも人気のある職種の一つです。
検察事務官の仕事について詳しく書いた記事は以下のございます。
検察事務官になるには、国家一般職採用試験という国家公務員試験を受験した上で、検察庁に面接を受けに行く必要があります。
しかし、そう言われてもなかなかイメージが湧かないかと思います。
今回は、検察事務官になるまでの受験申込から内定までに至る流れを分かりやすくご紹介していきます。
その他にも以下に検察事務官の採用面接について詳しく書いた記事もございますので、ぜひ参考にしてください。
検察事務官とは?
検察事務官は、検察官の指揮を受けて犯罪の捜査、逮捕状による逮捕、罰金の徴収などの事務を行っています。
そもそも検察事務官と聞いてピンと来ない方のために簡単にご説明しますと、テレビドラマで検事とペアになり事件の捜査を行なっている付き添いの職員を見たことがあるでしょうか。その職員が検察事務官です。
この例でいうところの検察事務官は、捜査公判部門に属する職員です。
検察事務官は、捜査公判部門、検務部門、事務局と大きく三つに分けることができます。
そのなかでも捜査公判部門は、最も仕事のイメージしやすい検察事務官の部門だといえます。
検察事務官の詳細は、下記の記事に掲載していますので、ぜひ参考にしてください。
【官庁研究】検察庁について【国家一般職編】検察事務官 – 合格者が語る公務員試験対策法
受験スケジュールと採用までの流れ
①検察庁主催の業務説明会、インターン(〜4月)
一般向けに全国の検察庁主催の説明会が随時開催されています。
予約の有無は、説明会ごとに異なるので確認をする必要があります。
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②インターネットによる受験申込(4月上旬)
人事院が行う国家一般職採用試験にネットで受験申込をする必要があります。毎年、4月上旬ごろが受験申込期間です。申込期間は数日しかありませんので注意が必要です。
国家一般職採用試験とは、人事院では定型的な事務をその職務とする係員の採用試験と定義しており、いわゆるノンキャリアと言われる国家公務員の採用試験です。
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③国家一般職採用試験 第一次試験(6月下旬)
1日をかけて、筆記試験(教養試験、専門試験及び論文試験)が行われます。
会場は発行された受験票に記載されていますが、大学等がよく会場として利用されます。
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④第一次試験合格発表(7月中旬)
筆記試験(教養試験と専門試験)の合計から合否が決定されます。論文試験は一次試験の合格発表には反映されず、最終合格者の選考で反映されます。
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⑤一次試験合格者向け官庁合同業務説明会(7月中旬)
一次試験合格発表後に官庁合同業務説明会が開催されます。
官庁合同業務説明会とは、内閣府や総務省、財務省をはじめとした様々な国の機関がブースを設け、国家一般職採用試験の一次試験合格者向けに業務説明を行う場です。
官庁合同業務説明会では、各官庁が1つの会場に集まるため1日で効率的に様々な官庁の説明会に参加することが出来ます。
また、個別業務説明会の予約もこの合同業務説明会で行っている官庁もあるため、そこで予約することで個別業務説明会に予約しようと思ったが、満席で予約が取れなかったという事態を避けることが出来ます。
この説明会に地方検察庁が参加しているため、地方検察庁のブースを優先的に回るようにしましょう。
現役職員の方にお話を聞くことができる良い機会ですので是非参加して下さい。
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⑥個別業務説明会(7月中旬〜8月中旬)
国家一般職採用試験の一次試験合格者を対象に、各官庁が主催する個別業務説明会が開催されます。全国の地方検察庁が個別業務説明会を開催しています。
参加するには、予約が必要です。予約のタイミングが遅いと満席で参加できなくなってしまう可能性があります。
早めに連絡しましょう。
先ほども申し上げましたが、官庁合同業務説明会に参加すれば、その場で個別業務説明会の予約をすることが出来る官庁があります。
官庁合同業務説明会で事前に予約できる場合は予約しておくことをお勧めします。
また、この説明会では、多くの官庁で質問の機会が設けられているため、そこで積極的に質問をし、人事担当者にアピールをしましょう。
正直、公務員試験においては、官庁訪問(採用面接)の前の個別業務説明会の段階から選考が始まっているといっても過言ではありません。
採用を希望する地方検察庁の説明会には、ぜひ早い開催日程の回で参加することをおすすめします。
この個別業務説明会に参加すること、この後に行われます、地方検察庁による官庁訪問(採用面接)で有利に働く可能性があります。
また、なるべく早めの回に参加することで志望度の高さをアピールすることができるかもしれません。
地方検察庁の個別業務説明会の詳細は、下記の記事でご紹介しています。ぜひ参考にしてみて下さい。
【合格体験談】官庁訪問(地方検察庁)の面接【国家一般職】 – 合格者が語る公務員試験対策法
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⑦国家一般職採用試験 第二次試験(7月下旬〜8月上旬)
人事院の職員で構成された面接官による人事院面接試験が行われます。
私が経験した人事院面接の内容は、以下の記事で詳細にご紹介しています。参考にして下さい。
【合格体験談】国家一般職試験の面接(人事院面接) – 合格者が語る公務員試験対策法
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⑦最終合格発表(8月下旬)
結果は、1次試験(教養試験と専門試験)と2次試験(面接試験と論文試験)の合計で決定されます。
合格者は、最終合格者名簿に記載され、各官庁の官庁訪問(採用面接)を受験することができます。この名簿は3年間記載されているため、3年間は官庁訪問をすることができるわけです。
ここで注意していただきたい点があります。
それは、国家一般職採用試験に最終合格しても、官庁訪問(採用面接)で内々定通知をもらえなければ、検察事務官として採用されないということです。
公務員試験のここが民間企業の選考と違うところです。
民間企業は、多くの企業が最終合格=内々定ですが、国家公務員試験は、最終合格≠内々定です。
では、国家一般職の最終合格とは何なのかというと、簡単に言ってしまえば、最終合格者名簿に記載され、各官庁の採用面接を受ける資格をもった状態になった状態のことです。
つまり、最終合格とは、各官庁の採用面接を受けることができる状態といえるでしょう。
※例年、最終合格発表前に官庁訪問(採用面接)が行われるため、一次試験合格者であれば官庁訪問をすることができます。しかし、官庁訪問(採用面接)で内々定をもらっても後日発表される最終合格発表で不合格になれば内々定取消となってしまいます。
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⑧官庁訪問(採用面接)(8月下旬)
官庁訪問とは、国家総合職試験、国家一般職試験の最終合格発表後(近年は、人事院面接や最終合格発表前に行われています)に行われる採用面接です。
官庁訪問は、文字通りの意味で捉えると各官庁を訪問することですが、実質的には国家一般職試験の最終合格発表日以降に行われる各官庁の採用面接です。
つまり、先にご紹介しましたが、国家一般職採用試験に最終合格しても、官庁訪問(採用面接)で内々定通知をもらえなければ、採用されません。
採用面接の形式は、面談や集団面接・個人面接など各官庁によって異なります。
採用面接を受けるためには、電話による予約が必要です。
なるべく早い席の予約をするようにしましょう。
遅い席の採用面接は、面接をしてる時点ですでに採用枠が埋まってしまっている可能性があります。
私自身、採用面接を受けている時点で採用枠が埋まっており、内々定を逃した経験があることから、この身をもって経験しています。
私が経験した地方検察庁の官庁訪問(採用面接)の内容は、以下の記事の中でご紹介しています。参考にして下さい。
【合格体験談】官庁訪問(地方検察庁)の面接【国家一般職】 – 合格者が語る公務員試験対策法
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⑨採用内定(10月1日)
採用面接または採用面接後に内々定を頂き、10月1日に内定通知を受けます。
国家一般職と検察事務官の違いはあるの?
両者に違いはありません。
国家一般職採用試験の合格者のうち検察庁に採用される者が検察事務官になります。
そのため、国家一般職=検察事務官です。検察事務官は国家一般職ということになります。
検察事務官になるには、国家一般職採用試験を受験する必要があります。
国家総合職は検察事務官になれない!?
将来、幹部候補生となる採用枠であることからキャリア組と言われている、国家総合職採用試験の受験者は、検察事務官になることはできません。
国家総合職≠検察事務官です。
検察庁の幹部候補生は検事?
検察庁の幹部候補生は、どの試験を受験することになるのか。
それは、司法試験で合格し検察庁に採用された検察官(検事)です。
検事に任官するためには、司法試験に合格する必要があります(司法試験の受験資格等については、こちら。)。
その後、約1年間の司法修習を経て、試験(いわゆる二回試験)に合格すれば、裁判官・検察官(検事)・弁護士のいずれかになる資格を得ることができます。
検事については、任官志望者の中から、能力・適性・人格・識見に優れた方を総合的に判断した上、採用されます。
国家総合職の代わりに司法試験に合格して検察庁に採用された、検察官があるのだと考えればイメージしやすいかもしれません。
つまり検察庁の幹部候補は、検察官(検事)です。
以下に検事のキャリアを掲載いたします。
検事のキャリア
新任検事・・・検事任官1年目の検事。
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A庁検事・・・検事任官後4~5年目の検事。A庁とは、東京地検や大阪地検といった大規模な検察庁のことを指す。検事任官後4~5年目の検事は、A庁に配置されることから「A庁検事」という。
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シニア検事・・・A庁検事期間を終えた検事。
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三席検事・・・地方検察庁において、次席検事に次ぐ立場にある検事。一般的に小規模な地方検察庁に置く。
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次席検事・・・属する庁の長に次ぐ立場にある検事。高等検察庁及び地方検察庁に各1名置く。
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検事正・・・地方検察庁の長の立場にある検事。属する庁の職員を指揮監督する。
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検事長・・・高等検察庁の長の立場にある検事。管内検察庁の職員を指揮監督する。
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検事総長・・・最高検察庁の長の立場にある検事。全ての検察庁の職員を指揮監督する。
引用元)法務省:検事のキャリア(その1)
検察事務官から検事になれるのか?
検察事務官も検事になることができます。
一定の受験資格基準に達した後、試験に合格することにより副検事・検事への道も開かれている点も検察事務官の大きな魅力です。
検察事務官のキャリア
捜査公判部門では、主任捜査官・統括捜査官・首席捜査官などへ、検務部門では、検務専門官・統括検務官・検務監理官へ、事務局部門では、係長・課長・事務局長などへそれぞれ昇進することになります。
捜査公判部門・検務部門・事務局部門間の異動も行われます。
また、先にご紹介しましたが、一定の受験資格基準に達した後、試験に合格することにより副検事・検事への道も開かれています。
まとめ
上記でご紹介してきました通り、検察事務官になるためには、国家一般職採用試験を受験する必要があります。
しかし、国家一般職採用試験で最終合格したとしても、検察事務官になれるわけではありません。
検察事務官として採用されるためには、全国の地方検察庁が行う官庁訪問(採用面接)を別途受験し、その地方検察庁から内々定をもらう必要があります。
このように、検察事務官になるためには、国家一般職採用試験で最終合格した上で官庁訪問(採用面接)で内々定をもらう必要があるのです。