私が現役時代、実際に公務員試験対策のために使用していた参考書や過去問集を改めて書籍の中身を確認して、これはお勧めできるものを厳選しました。
教養科目編と専門科目編の2回に分けて、まとめてご紹介していきたいと思います。
前回は、教養科目をご紹介しました。
今回は、専門科目を取り扱っていきます。
憲法
人権、統治の大きく二つの分野に分かれています。
人権は、判例の内容、判決結果、判決の理由の3つを覚えました。
公務員試験の傾向として判決の理由をしっかりと覚えていないと解けない問題が近年増えている感覚です。特に国家系。
統治は、ひたすら暗記です。数字などもたまにでてきます。私はどちらかと言うと統治の方が苦手でした。若干暗記要素が強いからです。
過去問を使ってインプットした内容をアウトプットする作業を行うことで知識が定着していく作業の繰り返しです。
私の公務員試験本番の感覚ですが、過去問の内容を覚えて、本番でその内容をアウトプットするような作業でした。
過去問で見たことがない、馴染みのない問題は、本番で解かず次の問題へ移っていました。
つまり何が言いたいかと言うと…過去問演習が大切だと言うことです。
過去問
民法
民法は、大きく総則、物権、債権、家族法に分かれています。
国家総合職、国家一般職、国家専門職、地方公務員の民法は、総則、物権、債権、家族法すべて出題されます。
裁判所一般職は、総則、物権、債権から出題され、家族法からは出題されません。
私は、幅広く併願するつもりだったので、総則から家族法まですべて勉強しました。
裁判所一般職の専願の方は、家族法をやらなくても良いでしょう。
民法1周目は1月に終わりました。
民法は、ただ条文の内容を参考書を使ってインプットするだけでは本番で解けません。
なぜなら、過去問慣れが非常に大切な科目の一つだからです。民法は、私が一番初めに過去問に取り組んだとき、かなり苦戦しました。
というもの問題の文章が法律特有の難しいで、内容が入ってこない…笑
しかし、何度も読み返すうちに問題の意図が分かるようになりました。
過去問を繰り返しやり、問題に慣れることが大切です。
民法は、憲法とは異なり、ただ事例や条文内容を覚えるだけではありません。
覚えた事例や条文内容を活用して、問題を解いていくという「思考する」プロセスが含まれてきます。
ここが民法の難しいところ、わたしは最初の頃、民法の問題を見ても全くわかりませんでした。
30秒考えて分からなかったらすぐに解説を読むと良いです。
私は、過去問1周目の段階では全体の問題のうち9割以上分からず、即座に解説を読んでいました笑。
過去問2周目でも相変わらず分からない問題が多く、半分以上は解答できなかったため、答えを確認するほど覚えが悪かったのです。
3周目になってやっと問題がようになってきました…過去問を繰り返し解くことによって、問題のポイントや考え方がわかり、どの条文を当てはめて考えればよいかわかってきます。
根気強く過去問をやりこむことが大切です。
過去問
行政法
行政法は、憲法の前半部分である権利分野のような暗記要素を持っています。
というのも、憲法の権利分野は、判例の内容、判決結果、その判決に至った理由を1つ1つ覚えていくことが基本的な学習の手順です。
行政法も基本的には同じところが少なからずあります。
例えば、国家賠償法の分野は、ある事件からその事件内容→判決結果→判決理由を追う流れが中心です。
1つの判例を物語のように一連の流れで捉えると記憶が定着しやすくなります。
とはいっても所々に民法にある時効期間のような数字を覚える分野も含まれています。
そういった暗記するべき分野は地道に覚えていくしかありません。
ただ、闇雲に覚えていても定着が悪いので、似たような事例とな違う点、同じ点に着目しながら覚えていくとより効果的に記憶が定着します。
過去問
ミクロ経済
ミクロ経済も他の科目同様、基礎固め演習の繰り返しです。
1周目は12月に終わりました。
経済科目は、国家公務員の試験種は計算問題が多目に出題、地方公務員は文章問題(理論問題)が若干多目に出題されます。
経済科目特有の用語が出てくるため、1つひとつおさえていくことが重要です。用語の整理をした上で、それぞれの問題における解く順序を覚えていきました。
特に計算問題は、解き方のプロセスをしっかりと頭に定着することができるかが鍵になってきます。
先ほどもお話ししましたが、計算パターンのバリエーションが少なく、1つ1つの分野ごとに計算プロセスが決まって限られています。
過去問を使って計算プロセスを覚えましょう。
文章問題(理論問題)は、特に用語の整理が肝になってきます。
用語を頭で整理しながら問題を解いていました。
経済科目は、ただ単に解く順序を覚えるのではなく、何をしているのかポイントを理解しながら解き方をインプットすることがコツです。
そうすることで定着がよく、本番でもスムーズに解答できました。
ミクロ経済、マクロ経済は、単元ごとにつながりがあるため過去にやった分野をしっかりと理解していないと時々何をしているのかわからなくなってしまいます。
私も最初は問題を解いていくと何をしているのか分からなくなってしまうといった経験が何度もありました。
立ち止まって前回の単元を見返すことも重要です。
それでも分からない場合はそれ以上時間をかけるのではなく、次の問題へ進みましょう。
だんだん全体像が見えてきて、ある時ふと分かるようになった経験があります。
経済科目はこのように計算プロセスの暗記や用語の理解といった暗記要素が強い科目であることが言えます。
ですから、1か月間全く手を付けない空白期間がありますと忘れてしまいます。これはどの科目にも言えることですが、定期的に忘れていないかどうか科目のメンテナンスを行うようにすると良いように思いました。
メンテナンスは、最低限1週間に1回は行うよう心がけていました。
過去問
マクロ経済
他科目同様、基礎固め→演習の繰り返しです。1周目は3月に終わりました。
経済科目については、国家公務員の試験種は計算問題が多目に出題、地方公務員は文章問題(理論問題)が若干多目に出題されます。
マクロ経済もミクロ経済同様に経済科目特有の用語が出てくるため、1つひとつおさえていくことが重要です。用語の整理をした上で、解く順序を覚えていきました。
計算問題は、解き方のプロセスをしっかりと頭に定着することができるかが鍵になってきます。
先ほどもお話ししましたが、計算パターンのバリエーションが少なく、1つ1つの分野ごとに計算プロセスが決まって限られています。
過去問を使って計算プロセスを覚えましょう。
文章問題(理論問題)は、特に用語の整理が肝になってきます。用語を頭で整理しながら問題を解いていました。
ただ単に解く順序を覚えるのではなく、何をしているのかポイントを理解しながら解き方をインプットすることがコツです。定着がよく、本番でもスムーズに解答できました。
マクロ経済ですが、最近の傾向として、多くの参考書で後半で取り扱われることの多いハロッド・ドーマーの成長理論、ソロー=スワンの新古典派成長理論など隅々までありとあらゆる分野から出題されています。
どうしても本番までに学習が追い付かない場合は、AD-AS曲線までは完ぺきに抑くと良いと思います。
過去問
財政学
財政学は、力を入れて取り組むことをお勧めいたします。
暗記要素の強い経済科目です。
ですから、用語や数字をしっかりと覚えるようにしましょう。
暗記するうえで気を付けてほしいことがあります。それは、特徴的なポイントをしっかりとらえることです。
「過去最高」「初めてマイナスに転じた」「年々増加傾向」「リーマンショック以降下落せず」といった特徴的なワードは必ず抑えておきましょう。
筆記試験で、そういったポイントをつくような問題が出題されました。
数字も『国債費が予算全体の「24.1%」を占める』いった場合には、小数点以下まで覚える必要はありません。「25%]もしくは「四分の一」とアバウトに覚えましょう。
小数点以下の数字で選択を答えさせる問題が出題される可能性は極めて低いです。というよりたぶん出ません。
ただし、財政学もすべてが暗記要素の分野ではありません。財政学は、経済科目というだけあって、計算問題も含まれます。
特にミクロ経済、マクロ経済で学習した内容の復習のような問題が含まれているので、ミクロ、マクロの復習にもなります。
たまに、ミクロ、マクロで出題されるような問題がそのまま出題されます。
ということは、ミクロ、マクロが得意であった方は、その分野は速攻で終わらせることができます。
ミクロ、マクロを苦手としていて計算問題はどうしても無理という方は、飛ばして暗記で解ける問題のみを学習していくのもいいと思います。
そうした方が効率的に学習することができる場合があるからです。
私の周りにも、計算問題は全く手を付けずに本番に臨み合格している友人がいました。
政治学
こちらの記事で紹介した内容を再度掲載させていただきます。
参考書の暗記作業は、労力を要する割に効果は少ないため、参考書で大まかな流れを掴んだ後は、すぐに過去問題集の難易度が低〜標準の問題を解きながら知識を確認するほうが効率的です。
参考書を見たら、すぐに難易度低〜標準の問題にあたって、キーワードの内容がどういう形で問題に変形されて出てくるかを確認すると問題に慣れてきます。
初期段階では解答を見ながらの学習の方が効率的でした。あまりちゃんと理解してから 問題集に取り組まない方が良いかと思います。
政治学は、日本史、世界史、思想、社会学(理論、思想)、経営学と重なる部分があります。政治学を学習しながら、他の科目の復習をする。またその逆も行うと学習効果が高まります。
演習は、原則的に消去法で解いていくことをおすすめします。
政治系科目の問題は、「正解肢」ぽいものでも厳密に検討すると100%妥当とはいえないケースがあります。
そのため、消去法で一番マシな選択肢を見つけ出すという作業をしていくことになります。(ただし例外的に、一目見ただけで「この選択肢が正解だ」という問題もあります)
過去問
社会学
社会学は、地方公務員は難易度が低く、国家一般職もそれほど難しくはありません。
しかし、国家専門職は、難易度が高いといえます。
といいますのも、国家専門職の社会学は、専門的な用語を多用した問題が多ことに加え、しっかりと吟味しないと解答することができない問題だからです。
単にキーワードのみを覚えていては解けない問題も含まれているので、注意が必要です。しかし、社会学はとにかく覚える科目です。
学習の基本は、学者やその内容のキーワードを抑えていくことです。
このキーワードの組み合わせを替えることで問題を作る試験種が多いのが現状です。選択肢5つの中で学者名だけを入れ替えた問題がその典型です。
しっかりとキーワードを覚え、それを整理していきましょう。あまり納得いくまで考えないことが賢明かと思います。
また、社会学は、政治学と学習内容がからみます。からむというより内容がかぶります。
政治学で問われる問題が社会学でも問われます。
また、経営学とも少しかぶります。政治学と合わせて学習すると効果的です。
社会政策
地方上級は、社会政策としてしっかり出題されます。
国家一般職では、時事、政治学や社会学、経済事情の問題の一部として出る可能性があります。また、論文試験のネタになります。
論文はある程度で知識がないと書くことができません。
そこで、この社会政策は、背景知識の元ネタ資料となりうる科目です。
国家専門職試験は、時事で毎年一問、そして経済事情や社会事情で出る可能性があります。
裁判所一般職は、ほぼ出ません。
労働基準監督官を受験する方は、特に注意が必要です。なぜならこの社会政策の範囲から10問程度出るからです。
地方上級は、広く浅く、労働基準監督官は、狭く深く出題されます。TAC出版の社会政策Vテキストは、細かく書いているので読み込むのにあまりにも時間がかかってしまいます。
そのため、過去問を解いていき、分からない部分があった場合、辞書代わりとしてこのVテキストを使用すると良いでしょう。
ただし、労基を受験する方は、一読しておくことをお勧めします。どんな論点があるのか確認しておきましょう。
社会政策は、時事ネタも出題されるため、「行政科目5科目まるごとパスワード」や「速攻の時事」で社会政策分野を確認しておくといいでしょう。
過去問演習は、地方上級は社会政策を解いていけばいいと思います。国税専門官は、社会事情や社会事情の部分の問題をチェックしておきましょう。労働基準監督官は、専門科目で労働関係で多く出るため、重点的に学習しておく必要があります。
過去問
会計学
公務員試験の会計学の学習は原理原則を覚えるだけで十分だと思います。
国税専門官の会計学では簿記や多少の計算問題も出題されますが、私は手を付けませんでした。
国税専門官の志望度がかなり高いなら第1章~第5章まではやっておいたほうが8問中3、4問程度は取れると思います。
あまり志望度が高くない方は、第1章と第4章はやっておいて損はないかと思います。8問中1、2問程度取れると思います。
「一般原則」と「損益会計」は、目を通しておくことをお勧めします。
毎年出ており、量も少ないのでコスパがいいです。
どうしても時間がない場合は、一般原則だけでも構いません。
私は、国税専門官の志望度がある程度高かったため、第1章から第5章までやったところ8問中6問とることができました。