官庁研究シリーズの国家一般職第9回です。
今回は、国土交通省の出先機関である、地方整備局についてお話ししていきたいと思います。
地方整備局は、私たちの生活や命を守るため、あらゆる取り組みをしている官庁です。
地方整備局の役割
地方整備局の役割は、管轄区域における国土交通省の職務と定められている、
①公共事業の実施や助成、②地方計画に関する調査及び調整、
③施設の管理、④災害の予防や復旧⑤その他の国土の整備及び管理に関する業務
を行うことです。
安全・安心な生活を守るため、維持感知を適切に行い、より豊かな社会を作るため、新たな事業を実施していくのが地方整備局の役割です。
調査・経過、設計から実施の工事に至るすべてのプロセスにおいて、地元のニーズや地域の課題を踏まえながら関係機関との招請を行い、道路や河川、港湾等の整備を進めています。
社会資本の整備・維持管理 仕事の流れ
①地域のニーズや課題
新たな事業実施においては、地域の実情、防災・環境面などや、利用者等のニーズ、 要望並びに整備による効果などを踏まえ整備が必要か検討します。
②計画・調査
事業実施に必要となる基礎データ(地形、地質、特性)等の調査を行い、その結果を踏まえ、関係機関との 調整や専門家及び地域の方々の意見を参考に適正な計画を考えます
③用地の取得・補償
社会資本の整備に必要となる土地や財産を所有する方に適正な価格での取得や補償をしています。
河川、ダム、道路、公園、港湾、空港等の公共施設の整備を推進するためには、土地(「用地」)が必要となります。 この「用地」を確保するために、譲っていただく土地・物件等を正しく評価・算定し適切な補償を行っています。
④工事の発注
調査・計画の結果をもとに、デザイン・景観・経済性、地域に応じた工法の選定について総合的に検討し、設計します。また、工事発注用の積算を行い、建設コストの削減と品質の確保の両立のほか、入札・契約の透明性・公平性の確保などにも取り組んでいます。
⑤工事・監督、検査
工事を請け負った建設会社が設計図や定められた図書に基づいて施工されているか、要求した 性能・仕様を満たしてるかなどについて監督・検査を行います。
⑥維持管理
整備した社会資本がしっかり役割を果たすことができるよう、適切な維持管理を行っています。
試験区分ごとの業務内容
事務系
行政
総務、人事、経理、契約、財産管理、福利厚生、都市計画等の計画行政、土地収用、住宅・宅地、建設業等の監督、河川・道路・港湾等の公物管理、用地取得・補償など
技術系
土木、農業農村工学、林学等
社会資本整備に係わる調査・計画・施工・管理など
電気・電子・情報
無線・通信技術、光ファイバーネットワーク、河川・道路の情報システムの整備など
機械
排水ポンプ、トンネル換気設備などの設計・施工・管理、新型機械の開発・導入など
建築
国の建築物、官庁営繕施設等の設計・整備・保全など
各地域の地方整備局
東北地方整備局
○管轄区域
青森県、岩手県、宮城県、秋田県、山形県、福島県
関東地方整備局
○管轄区域
茨城県、栃木県、群馬県、埼玉県、千葉県、東京都、神奈川県、山梨県、長野県
北陸地方整備局
○管轄区域
新潟県、富山県、石川県、長野県(港湾・空港関係業務)、福井県(港湾・空港関係業務)
中部地方整備局
○管轄区域
岐阜県、静岡県、愛知県、三重県
近畿地方整備局
○管轄区域
福井県、滋賀県、京都府、大阪府、兵庫県、奈良県、和歌山県
中国地方整備局
○管轄区域
鳥取県、島根県、岡山県、広島県、山口県
四国地方整備局
○管轄区域
徳島県、香川県、愛媛県、高知県
九州地方整備局
○管轄区域
福岡県、佐賀県、長崎県、熊本県、大分県、宮崎県、鹿児島県、山口県下関市(港湾・空港関係業務)
地方整備局の特徴
残業が多い反面、残業代もつきやすい
行政区分、技術区分ともに他機関と比べて残業は多めです。
また、台風や地震等の自然災害が発生した際は、
ただし、インフラ官庁のため、
深夜時間帯に災害対応した場合、
そのため、他の国の出先機関と比べて、残業代つく傾向にある分、
転居を伴う転勤が多め
地方整備局は、
一管内で複数の都道府県を所管しているため、
様々な地域で生活してみたいという方は、おすすめです。
私の地方整備局の印象
私が地方整備局の業務説明会に参加したときの印象は、大規模な事業に取り組む機会に恵まれている職場であるように感じました。
地方整備局は、スケール的にも金額的にも大規模な工事に関わることができる機会が多く、その分責任感のある姿勢が求められます。
また、災害時は復旧作業のため、地方整備局から災害派遣されます。国民の社会生活と生命を守るやりがいのある仕事だと感じました。