面接試験でよく問われる質問の中に長所・短所があります。
あらかじめ面接カードに長所や短所を記載するよう求める試験種も数多く存在するため、対策は必須の質問です。
私が受験した官庁においては、長所・短所について聞いてこなかった官庁はほとんどなく、かなり少数派です。
しかし、「面接で話せるほどの長所がない」、「長所や短所を考えてみたもののこれで合格できるのか不安だ」という悩みを抱えている方がいらっしゃるかと思います。
私も現役時代、そういった悩みを抱えている人間の一人でした。
今回は、面接試験で必ず問われると言っても過言ではない、長所・短所について、元面接官の方の話や現役公務員の方の話を参考に、合格レベルの自己PRを作り上げるために必要なポイントをご紹介していきます。
長所・短所と自己PRの違い
長所と短所というのは、その人の性格について聞いている質問です。
自己PRというのは、その人の仕事の強みについて聞いている質問です。
つまり、自己PRと長所・短所は違うわけです。
長所は、自己PRとは違います。仮に「あなたの長所は?」と聞かれたとき、「私の長所は、課題解決力がある点です。」と回答したとします。
課題解決力は、仕事の強みであり、自己PRに分類されるワードです。
一般論としては、長所は性格のことを指します。自己PRは仕事の強みのことを指します。
以下に代表的な長所と自己PRに用いられる用語を掲載しました。
【長所】
・明るい ・積極的 ・優しい ・前向き ・我慢強い ・几帳面 ・素直 ・負けず嫌い
【自己PR】
・責任感 ・調整力 ・折衝力 ・分析力 ・行動力 ・協調性 ・傾聴力 ・伝達力 ・課題発見力 ・課題解決力
長所と自己PRで似たようなワードもあるため、どちらに属するか区別することが難しいかもしれません。
そのため、個人的には長所と自己PRの違いはあまり重要ではないと考えています。
長所で使われるワードを自己PRで話したとしても大した問題ではないでしょう。
なぜなら、私自身、あわゆる公務員の面接試験において、自己PRで用いいるべきワードを長所として話していましたが、その試験では全て内定を頂いていたからです。
長所と短所が見つからない人は周囲に聞いてみる
長所と短所がないという方はいません。
もし、長所と短所が見つからないという方は、周りの人たちから聞いてみるのも手です。家族や親せき、友人等の周囲の人間に聞いて参考にしてみましょう。
自分では気付かない自分の長所や短所を聞き出せる可能性があります。自分以上に他人の方が自分を知っているなんてことはよくあります。
それでも長所が思い浮かばない方は?
それでも長所が思いつかないという方にちょっとしたテクニックをご紹介します。
公務員試験の面接では、よく問われる質問の中に「公務員に必要な能力3つを教えてください。」というものがあります。
その回答の候補として考えられる、「傾聴力」「伝達力」「調整力」「企画力」「柔軟性」「課題解決力」などから選んでいくと良いでしょう。
なぜなら、自分は公務員に必要な能力を持ち合わせていることをアピールすることができるからです。
短所の選定には注意が必要!
短所は長所よりも影響が大きいことから、注意して考える必要があります。
自分の話す短所が、仕事にどのような影響を与える可能性があるのか、面接官からどのようにとらえられるのか、その性格は公務員に向いてるのだろうかを考える必要があります。
なぜなら、面接官は、仕事に支障を来たすリスクが高いかどうかという目で、受験生の短所を見ているからです。
自分の短所が仕事に出てしまったときに、どの程度の影響があるのかイメージすると、それは面接で使ってもよい短所かどうか判断することが出来ます。
短所を考える上でのテクニック
ここからは短所で有効活用できるテクニックをご紹介します。
短所を考えるときに真っ向から「性格」について考えるのではなく、自分の「見た目」や「外見」、「雰囲気」について話すのです。
「え、性格のことでなくても良いの?」と思われた方がいらっしゃるかもしれません。
短所は、「これは自分の弱いところだ」なと思えば、別段性格である必要はありません。
性格にこだわって公務員としての適性を欠くような短所を話してしまう方が遥かに問題です。
具体例をご紹介します。
「私の短所は、童顔であることから頼りなく見えてしまう点です。」
「私の短所は、強面であることから初対面の人に取っつきにくい人だと思われがちな点です。」
このように自分の見た目や雰囲気が不利だなと感じたエピソードがある方はぜひこのテクニックを活用してみて下さい。
また、短所を話すときは、「ときどき」「少し」といった短所を和らげるフレーズを使用しましょう。
そして短所を話した最後に、必ず「仕事では毎回注意深く見直しをすることで、短所をカバーしています。」というように仕事では支障が出ないことをアピールしなければなりません。
重要なのは、短所と向き合いどのようにカバーをしているかという点です。
面接官としては、仕事に支障をきたすリスクのある受験生を見す見す合格させるわけにはいきません。
具体例をご紹介します。
「私の短所は、強面であることから初対面の人に取っつきにくいと思われがちな点です。会話する時は極力笑顔で話すよう心掛けています。周囲からは一度話すと案外話しやすくて優しい印象を受けると言われることがよくあります。」
「短所をカバーしています。」というように仕事では支障が出ないことをアピールをしましょう。
また、「他人目線の評価」を入れて話すこともポイントです。
私が現役時代、こうしたフレーズを入れると面接官がよく頷いており、意外にも効果的でした。
面接官はここを見る!長所や短所を考える上で重要なこと
長所や短所で重要なのは、エピソードです。
面接官が長所の質問で聞き出したいことは、どのような人かということです。
つまり、長所や短所の質問で面接官が意図してることは、受験生がどのような性格の持ち主であるのか知ることです。
こういったことが面接官に伝われば、選ぶ長所は何でも構わないのです。
自己PR、長所・短所は、証拠力の高いエピソードを用意をしておく必要があります。
○○力があります、○○が強みです、というフレーズはどのようなものを使っても問題はありません。
その後に述べるエピソードが非常に重要なのです。
そのため、強みあるいは弱みとエピソードが合っているというポイントも非常に重要です。
○○が強みです、○○が得意です、というのは、極端な話だれでも話せます。誰が話しても自由ですし、いくらでも勝手に言えるわけです。
しかし、その長所あるいは自己PRを証明するための証拠が必要です。
その証拠のためにエピソードを用意するわけです。
したがって、エピソードが弱ければ、証拠が弱いということになってしまいます。
長所を面接で話すときのポイント!
自分の長所をエピソードと合わせて一機に話そうとする方がいます。
決して間違いではありませんが、注意すべきことがあります。
それは、一回の回答を1分以内にまとめることです。
長々と自分の長所や短所を話してしまうと、面接官とのキャッチボールではなく、押し売りになってしまう可能性があります。
たとえば、以下のような回答であれば問題はありません。
面接官「あなたの長所は?」
受験者「私の長所は、気持ちの切り替えが早い事です。レストランのアルバイトでは、失敗をしてもいつまでもくよくよするのではなく、すぐに気持ちを切り替えて二度と同じような失敗を繰り返さないよう再発防止策を考えるよう心掛けていました。」
面接官「その失敗したエピソードについて詳しく教えて。」
このように長所とエピソードを一気にまとめて長所を話す必要はありません。
公務員の面接は、コンピテンシー面接です。
コンピテンシー面接とは、受験生の良さを面接官が引き出すタイプ面接です。
つまり、聞き出すことが面接官の仕事なのです。
面接官が気になるようなことがあれば、向こうから質問しに来てくれます。
一度の回答が1分以内に収まるように回答をまとめるよう心がけてください。
最初から長々と話す必要はありません。
なかなか簡潔に回答することが出来ないとお悩みの方は以下のような記事も描いていますので、参考にしてみてください。
逆に長所とエピソードが1分以内に収まるようであれば、一度にまとめて話しても問題はないでしょう。
最後に面接のテクニックにはなりますが、長所・短所ともに「他人目線の評価」を入れて話すことを心掛けてください。
「周囲からは、よく○○だと言われていました。」というフレーズをいれるのです。そうすることで、話に説得力が生まれます。
長所・短所で使わない方が良い言葉
長所あるいは短所で使わない方が良い用語があります。
それは「コミュニケーション能力」です。
「私の長所はコミュニケーション力がある点です。場を盛り上げることが得意で、初対面の人とすぐに仲良くなることができます。」
このような使い方は避けた方が良いでしょう。
そもそも、面接試験自体がコミュニケーション能力を判断する試験です。コミュニケーション能力がなくては試験は受かりません。
つまり、面接試験とは、大前提としてコミュニケーション能力があった上で、その他の長所をアピールする場なのです。
本当にコミュニケーション能力があるとしたら、面接本番でコミュニケーション能力をアピールすることはないかと思います。
もし、コミュニケーション能力について話すのであれば、コミュニケーション能力を分解して使用すると良いです。
つまり、コミュニケーション能力と言うのではなく、「傾聴力」と「伝達力」という言葉を使いましょう。
コミュニケーション能力というのは、聞く力と伝える力に分解することができます。
「傾聴力」あるいは「伝達力」のどちらかを使うと効果的かと思います。